みことば

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7月10日 西林 佳夫さん

チャプレン 和田 憲明

[2026-07-10]

【聖書】マルコによる福音書 6:8-9
次のように命じられた。旅には杖一本のほか何も持たず、パンも、袋も、
また帯の中に金も持たず、 ただ履物は履くように、そして「下着は二枚
着てはならない」と。

【奨励】
 おはようございます。宗教委員で大学総務課の西林です。

 最近、テレビやネットで「平成レトロ」という言葉を耳にすることはな
いでしょうか。1989 年に始まった平成時代の文化やファッションが巡り
巡って、皆さんのような令和を生きる若い人たちに受け入れられていると
います。カセットテープや使い捨てカメラなどアナログ感が満載なものが
特に刺さっているようですね。平成元年に中学生になった私からすると、
当たり前のように使っていたものが令和の今注目を浴びていることに、ず
いぶん年を取ったもんだなと、ノスタルジックな気分になってしまいます。
 そんな、平成時代が始まる1年ほど前の1988年、連日テレビのニュース
で取り上げられていた双子の兄弟のことをご存じでしょうか?ベトナムに
生まれた「ベトちゃんドクちゃん」となづけられた当時7歳の双子です。
二人は、1970 年代に繰り広げられたベトナム戦争の被害者でもありまし
た。米軍が上空から散布した毒性の高いダイオキシンを含む枯葉剤の影響
で、下半身が結合した状態で生まれてきました。
兄弟のうち、兄のベトちゃんの容体が悪くなり、最悪の場合2人とも死亡
するリスクがあることが分かり、2人を分離する手術が行われたのが1988
年のことでした。日本人の医療スタッフがベトナムに派遣され、分離手術
が行われました。
二人が日本に支援を求めたきっかけは、ベトナムと日本の間の、古くから
の良好な二国間関係が大きな理由だったといわれています。古くは、鎖国
中の江戸時代にすでに日本人街があり、交易が行われていたといいます。
また、1900年代初頭には、当時ベトナムを植民地としていたフランスから
の独立の足掛かりにしようと、日露戦争に勝利した日本に学ぶ「 ドンズー
運動」の機運が高まりました。専門的な知識を得て、祖国ベトナムの発展
の基礎にするために約200人のベトナムの若者が日本に留学しました。ド
ンズーは漢字で「東」に「遊ぶ」と書きます。
 このドンズー運動に影響を受け日本に留学し、ベトナムに帰国後日本語
学校を建てた人がいます。グエン・ゴック・ホーエさん。ホーエさんは
1959年に来日し、1964年に京都大学を卒業し、その後1967年には東京
大学大学院で研究に励み学位を取得しました。在学中の1964年に東京で
留学しているベトナム人留学生に日本語講座と入試対策を行う私塾を開設
し、後輩が日本で勉強するサポートを行いました。
帰国後は京都大学、東京大学で学んだことをベトナム政府や大学での仕事
に生かし、得られた財産をもとに、1991年に「ドンズー」の名前を冠した
日本語学校を設立しました。
 以前、ベトナムのホーチミンでの留学フェアに参加して、留学生のリク
ルートを行っていた時、ホーエさんが私のもとにやってきて、ぜひ学校を
見に来てほしいと熱心に訴える姿が思い出されます。
学校を訪問すると、生徒たちは私を見るなり直立不動で大きな声で「こん
にちは」とあいさつをしてくれます。ホーエさんは、「生徒たちはベトナ
ムの未来をよくするために勉強している。カリキュラムも日本の大学です
ぐ勉学が始められるように、日本の高校の教科書を使用して日本語で授業
をしている。もちろん校内では日本語しか認めない。」といいます。だか
ら安心してあなたの大学で受入れてほしいとおっしゃるのです。そして、
挨拶にきただけだと思っていた私に、生徒を300人集めたから、日本で留
学することの良さを訴えてほしいといわれ、大汗をかきながら話をしたこ
とを思い出します。
 さて、今日のマルコによる福音書には、イエス様が12人の弟子を任命し
て「使徒」と名付け、宣教のために各地へ派遣した際のできことが記され
ています。
このことは、例えば私たちが旅をしたり、留学するときの心構えとしても
有益なのではないでしょうか。インターネットが普及した現代の私たちは、
いろんな媒体から、国内、国外に限らず様々な情報を容易に得られるよう
になりました。それでも、今いる住まいを離れて実際に体験することの衝
撃は当時も今も普遍的なものなのかもしれませんね。
 もうすぐ前期の授業が終わります。後期が始まるまでの時間でぜひ日常
とはなれた世界に身を置いてもらえればと思います。イエス様が遣わされ
た使徒のように、最小限の持ち物で出発してみましょう。絞ったスポンジ
が水を含むように、心にも体にもたくさんの経験がしみ込んでいくのでは
ないでしょうか。50歳の私でも旅をすれば感動でいっぱいなのですから。
さて、わたしが仕事をしているオフィスは1号館と2号館の間のアウトリ
ーチセンターです。私のほかにも海外での経験が豊富な職員が皆さんの海
外での活動を応援しています。興味がある方、ぜひ話を聞きに来てみませ
んか。

短く祈ります。神様、私たちが生きているボーダーレス化が進んだ現代で
は、世界と関わらずに一生を終えることはできないくらいです。あなたが
使徒を派遣されたように、持ち物は少なくても、私たちに見るべきもの、
得るものを導いてくださること願います。また、私たちに新たな世界に目
を向け新たな価値が得られるよう支えてください。そして、学生の中には
KLC グローバルプログラムで夏休みに外国へ旅立つ学生がいます。その一
人ひとりの豊かな経験に神様のお導きと祝福がありますように。
この小さな祈りを、主イエスキリストを通じてみ前にお捧げいたします。