みことば

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4月13日礼拝 学生スピーチ

チャプレン 崔 大凡

[2023-04-13]

コリントの信徒への手紙一/ 10章 13

あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。

 

 

皆さんこんにちは。前年度チャペル委員長を務めました、人文学科4年です。皆様の前でお話しする機会が頂けたことに感謝します。

 

今日読んだ聖書箇所は、私が高校時代に礼拝の中で聞いた1番印象に残っている言葉です。

「神は真実である。あなたがたを耐えられないような試練に会わせることはないばかりか、試練と同時に、それに耐えられるようにのがれる道も備えてくださるのである。」

この、聖書の言葉を聞いた時、感心したのと同時に、率直に「そんなに上手くいくのかな」と思ったのでとても印象に残っています。しかし、大学生活を送る上で、この聖書箇所を彷彿とさせる出来事があり、そこから感じたこと学んだことを今からお話ししようと思います。

 

私の大学生活においての最大の試練は、やはり新型コロナウイルス感染症拡大に伴う行動制限でした。1年生の春頃、今の私からはおそらく想像がつかないくらい、心が沈んでいました。今でもその頃を思い出そうとすると自然と涙が出てきます。自由に行動ができないということが辛いと感じるよりも、それに伴う出来事が自分にとって苦痛だったと思います。

大学生になりアルバイトに応募しても、時短営業や休業措置を行う企業が多く希望通りになかなか働くことができず、アルバイト先を転々としていました。

大学は入学式が行われず、授業開始日も延期が度重なり、授業が開始されたのは5月にオンライン授業という形でした。先日、その頃の日記がたまたま出てきたので読んでみると、「今日は学校がコロナのせいで休校。まだ大学生という感覚が薄い。だからといって高校生でもない」ということが書かれていました。どこにも属していないような感覚や何もできずにいる自分は社会に必要とされていないんだという感覚に陥り、自分の存在価値を問う日々が続いていました。

 

そんな中大学が始まり、授業選択を行う為時間割を1人で確認していると、宗教音楽(オルガン)というのを見つけました。ピアノは幼稚園から高校3年生まで習っており自粛期間も毎日のように弾くほど、ピアノを弾くことが好きでした。アドバイザーの犬童先生に相談をすると、ベンケ先生に連絡してくださり、ベンケ先生から「あなたを待っています」と返事をいただきました。この時の私には、「待っている」という言葉がとても嬉しく、私を待ってくれている、必要としくれているのだと感じ、すぐに入りますと返事をしました。これが私にとってチャペル委員会に入るきっかけとなり、私の沈んだ気持ちを救い出してくれる出来事でした。

 

チャペル委員会では、オルガニストと礼拝係に所属しました。どちらの活動も毎日の礼拝には欠かせないものです。学校に登校できる期間は、週に2.3回は礼拝に参加し、係の仕事やオルガンを奏楽しました。どちらの仕事も責任を伴いますが、とてもやりがいがありました。遠隔授業が行われている間も次の礼拝での奏楽に向けて練習を行うなど、オルガニストとしての責任感が、気持ちを沈める暇なく動く力になっていました。

私が前向きになるためにチャペル員会での活動、そしてそこで出会う友達も非常に大切でした。普段関わることがないコースの友達や先輩・後輩と知り合い、授業の話や今日あったことの話などたわいもない話をして毎回活動を楽しんでいました。

そのように活動をしていると、2年生の冬ごろに、前年のチャペル委員長から「いつも明るく楽しそうに活動をしてくれているので、委員長をぜひ引き受けてほしい」と言われました。その言葉を聞き、「みんなが楽しく活動をできるように」ということを活動の軸にし、楽しく活動できる雰囲気づくりのためにどのような仕事であっても自分が1番明るく楽しむことに務めました。すると、ある会議後に、ベンケ先生から「1年生の最初の頃から比べると明るく変わったね!」と言っていただき、今大学生活や様々な活動を楽しむことができているのだと実感しました。

 

今日選んだ聖書箇所は「あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」と書かれています。私にとって大きな試練は新型コロナウイルスによりなかなか思い描いたような大学生活やその他の活動ができなかったことでした。ですが、チャペル委員会の活動やそこで出会った友達や先生方を通して、自分の居場所や価値を見つけることができこの試練を耐えることができました。

これから新年度に入り、新たな環境や人間関係の中で、思いもよらない試練に遭遇するかもしれません。神様は耐えられる試練しか与えず、また耐えられなかった時のために逃れる道も用意してくださっています。ですが、人間は様々な壁にぶつかったとき乗り越えるために様々な道を選択出来ます。私は社会に必要とされていないのではないかと心が沈んだ時期がありました。そのような時に救い出してくれたのは、周りの友達や先生方との出会いそして様々な活動を行う行動でした。私のように人との出会いや行動を起こすことあるいは、新たな考え方や言葉との出会いが壁を乗り越えるための手助けになるかもしれません。

毎日、1017分から行われる礼拝には、聖書の言葉や新しい価値観との出会いがあります。礼拝の中で出会う新たな考え方や言葉が目の前に立ちはばかる苦難や困難の直接的な解決にならずとも、きっかけをもたらしてくれるかもしれません。

ぜひこれからの学生生活、時間がある時に友達も誘って礼拝に参加してみてください。私もあと一年、礼拝に参加し、様々な言葉や価値観に触れそして一緒に礼拝に参加する友達を大切にしていこうと思います。

 

一言お祈りします。

神様、今日このように皆さんの前でお話しする機会がいただけたこと感謝いたします。

これから新たな環境で、様々な試練にぶつかることがあるかもしれません。その時は、私が乗り越えるための道を見つけることができたように、大学に所属する学生・教職員を良い方向へ導いてください。また、その道が用意されていることに気が付くことができるよう私たちを隣でお支えください。もし、困難を前に動けずにいる人がいるのなら神様が用意してくださった逃れる道に向かえるようお導きください。

この祈りを主イエスキリストの御名によって御前にお捧げ致します。アーメン